小結阿炎と十両若元春は11月7日、Instagramに不適切動画を投稿した件で日本相撲協会から始末書の提出を求められ厳重注意を受けた。さらに協会は、力士や親方ら協会員に対してSNS利用の自粛要請を通達した。力士と同様、SNSの私的利用が難しい職業の一つが教員だ。11月18日には、静岡県浜松市では教職員向けのSNS利用に関するガイドラインが発表され、話題を集めている。自身も元教員であり、教育現場とSNS事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、教員のSNS私的利用の問題点と難しさを解説する。
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11月、小結「阿炎」と十両「若元春」は、粘着テープで手足などを縛られたお互いを撮影した動画をInstagramに投稿した。自虐的な悪ふざけ動画で、明らかに反社会的な行為をしたわけでもなく、誰かを傷つけたわけではない。しかし、一部インターネット上で「関取として不適切では」と批判を受けていたことをご存知だろうか。
今回の動画を一般のスポーツ選手や芸能人などが投稿しても、ここまで大きな問題にはならなかっただろう。だが、相撲では伝統的に品位や品格が重んじられる傾向にあり、今回もその視点で逸脱したと判断されたと思われる。実際に協会の危機管理部長を務める鏡山親方は「動画は不謹慎な内容だ」と断じている。つまり、力士は他の職業と求められるものが違っているのだ。
同様に教員はSNSの私的利用が難しく、これまでに何度も問題が起きている。教員は児童生徒や保護者にとって教育者であり、一般よりも品位あるふるまいが求められるためだ。さらに公立学校の教員は、地方公務員法により守秘義務が課せられている。力士の場合と同様、教員のSNSの私的利用はそもそもハードルが高いのだ。
◆スマホを持たないのに指導せざるを得ない実態
2019年11月、浜松市教育委員会は「教職員のSNS利用に関するガイドライン」を提示、「児童生徒・保護者との個人的なやりとりは原則禁止」とした。男性教員が女生徒に対して「好き」などのメッセージを頻繁に送るなどして停職になったり、女性のスカートの中を盗撮して免職者が出るなど問題が続いたためだ。
2015年には埼玉県で、男性教員が女生徒に対してLINEを使って連絡を取りわいせつ行為をする例などが続いたため、埼玉県教育委員会でも県立高校の全教員を対象にLINEなどを使った生徒との私的な連絡を禁止している。このように、教員のスマホやSNS利用は制限されることも多い。