労働者の多様で柔軟な働き方を後押しする「働き方改革」──。いまや、企業は長時間労働の見直しや、正規・非正規社員の労働格差是正といった大きな施策ばかりでなく、働きやすい職場環境にするため、あの手この手の取り組みを打ち出しているが、そんな働き方改革の“先進企業”ともいえるのが、缶コーヒーなどでお馴染みの清涼飲料メーカー、ダイドードリンコ(本社・大阪市)だ。
まず同社が2017年11月より導入したのが、昼休憩を利用した“昼寝”推奨の「カフェインナップ」。平日の12時30分~12時45分の15分間、本社に所属する約200名の従業員を対象に、コーヒーを飲用した後、自分のデスクにうつ伏せて昼寝することを勧めている。
その目的や効果について、同社の取締役執行役員で人事総務部長の濱中昭一氏が話す。
「コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用は、飲用後20~30分後に現われ、リフレッシュ効果はその後6時間以上持続すると考えられています。当社は缶コーヒーを主力商品とする会社ですので、社員がコーヒーのリフレッシュ効果を実感できて、かつ午後の業務効率が上がれば一石二鳥ということで始めました」
実際、日々昼寝を実践する各部署の社員たちからは、以下のような声が寄せられているという。
〈カフェインナップによって、午後眠くならないだけでなく、新たな発想を生むためのハイテンションな時間をつくることができています〉(人事総務部の社員)
〈毎日細かな計算をたくさん行い、ミスは許されない仕事なので、カフェインナップで午後からの集中力を高めています〉(財務部の社員)
目下の課題は、昼の限られた休憩時間を昼寝に使いたくないという社員がいるためか、参加率がいまいち伸び悩んでいることだそうだ。「効果的な昼寝をサポートするグッズを用意するなど、さらなる啓蒙活動が必要かもしれません」(前出・濱中氏)