シリーズ累計売り上げ350万部を超える大ベストセラー『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の勢いが止まらない。昨年、全国12万人の「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(ポプラ社主催)では堂々の1位に輝き、小学生を虜にしている。動物の生態をユーモアたっぷりに紹介し、「一生懸命生きているのにちょっと残念」な秘密に思わず笑ってしまう同シリーズの監修を務める動物学者・今泉忠明さんは、“子供たちが今いちばん会いたい人”ともいわれている。
国立科学博物館の研究員をしていた父親に鍛えられ、小学生で動物の標本を作っていたという今泉さん。父、兄、息子と親子3代で動物学者という「いきもの」博士だが、その今泉さんに動物の寿命について尋ねたところ、困ったような笑顔を見せた。
◆心臓がバクバクしても寿命は縮まらない
「寿命を測定できるのは、戸籍がある人間だけ。いつ生まれて、いつ亡くなったか正確な記録が残っていますから。殺人事件の被害者の遺体などは、身元がはっきりするまでは“20~40代の男性”などと年齢の幅を持たせて報道されるでしょう? 人体から確固たる年齢を割り出すことはできないからです。
ゾウガメは甲羅に、コイは魚鱗などに刻まれる年輪のようなもので年齢が調査できる動物もいますが、あくまで推定年齢。何も手がかりがない動物もたくさんいますし、野生動物に関しては、どれだけ研究しても確実な年齢はわからないんじゃないかな」(今泉さん・以下同)
“体が小さい動物は心拍数が高いため短命につながる”など、動物の寿命については諸説あるが、すべての動物をひとくくりにして測ることはできないと今泉さんは考える。