11月23日から26日にかけ、カトリック教会のトップでバチカン市国の元首でもあるローマ教皇・フランシスコが日本を訪れていた。教皇は原爆投下などに言葉を発信し、安倍首相や天皇陛下とも会談。また長崎や広島、東京ドームでは教皇自身が主司式となり数を集めた大規模ミサでは華やかな入場パレードや厳かな祈りを披露した。
ミサはカトリック信徒が行う「感謝の祭儀」と呼ばれる集会だが、38年ぶりの教皇のミサとあって、熱心な信徒は期待大。25日の東京ドームの「教皇ミサ」を訪れた信徒の中には「懺悔や祈りも一層祈りに気持ちが入る」(東京大司教区の教会所属・40代男性信徒)といった声や、「どんな声掛け(司祭が『主は皆さんとともに』などの文言を投げかける)があっても全力で応え(『また司祭とともに』など声を返す)ます」(新潟教区の教会所属・50代女性信徒)と、意気込みも聞こえた。
しかし、ミサが始まり、「開祭」の教皇の呼び掛けが始まると、戸惑う信徒らの姿が見られた。日本のカトリック教会堂で行われる日本語のミサと違い、ラテン語や英語、タガログ語などが入り混じっていたからだ。
「普段は教会で司祭が『父と子と精霊のみ名によって』と呼び掛け、会衆(参加者)が『アーメン』と返答するのですが、教皇は『In nomine Patris,et Filii,et Spiritus Sancti』とラテン語で呼び掛けたので一瞬、戸惑いました。さらに『奉献文』などではラテン語で答えなければならずタイミングも読みも難しい。加えて、『Let us pray~~』と英語の祈りを聞いたり、『奉納の歌』はタガログ語で歌わなければならず……。メロディーは知っていますが、ルビを頼りに歌うのは大変でした」(参加した前出の女性信徒)
もちろん、ミサはどんな言語で行われても問題はない。カトリックに詳しいライターは「日本でもカテドラル(関口教会。東京都文京区)などで多言語で行う『インターナショナルミサ』なども存在します。カトリックの共通言語であるラテン語を式の重要な場面に配置し、スペイン語や英語も堪能とされる教皇に優しい言語が中心という印象でした」と話す。
今回、東京ドームミサでローマ教皇が日本語で発した言葉は、「全能の神と、」というひと言だけ。参加者と共に告白をする「回心」の冒頭部分だった。