人気のクルマジャンルとしてすっかり定着した感のあるSUV(スポーツ多目的車)。近年は大きめサイズでアウトドア仕様のSUVだけでなく、ちょっとした買い物や行楽に便利な街乗りコンパクトSUVも各メーカーから続々発売されている。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、大混戦のミニSUV市場をレポートする。
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日本でも次第にヒートアップしつつあるSUVブーム。11月5日、そのブームを狙い澄ましたかのようなニューフェイスが登場した。ダイハツ工業の5ナンバーサイズSUV「ロッキー」である。
ロッキーという車名は実は初出ではない。クロスカントリー4×4が人気を博したバブル時代、ヒット商品となっていたスズキ「エスクード」の対抗モデルとしてリリースされたダイハツの小型4×4に使われていた名称だ。
ダイハツの開発陣は、車名こそ再利用しているものの、コンセプト的には初代ロッキーからの継承性はないとしている。それはそうだろう。新型ロッキーはラダーフレームボディの本格オフロードカーではなく、軽乗用車「タント」と多くの部品、設計を共有するクロスオーバーSUV(※注)である。
【※注/クロスカントリー車の高い走破性と乗用車の快適性を融合(クロスオーバー)させたSUVのこと】
車体は全長3995×全幅1695mmと、コンパクトな5ナンバーサイズ。エンジンは排気量998ccの3気筒ターボ。FWD(前輪駆動)モデルであれば車両重量が1トンを切る軽量設計。寸法でSUVらしさがあるのは最低地上高が185mmと余裕があることくらいだ。
だが、簡便な成り立ちとは裏腹に、スタイリングはゴツい。フロントエンドまで厚みのあるデザインのボンネット、絞り込みの小さな角型キャビンなど、昨今流行りの流線型SUVとは一線を画する。実際のスペックはともかく、見た目は硬派なクロスカントリーモデルのようで、なかなか新鮮だ。