国内

大麻やMDMAを入口に、さらに危険な薬物にハマる悪循環

報道陣が待ち構える中、警視庁東京湾岸署に入る沢尻エリカ容疑者を乗せた車(時事通信フォト)

報道陣が待ち構える中、警視庁東京湾岸署に入る沢尻エリカ容疑者を乗せた車(時事通信フォト)

 薬物に詳しいと自称する人には、なぜか「●●なら害はない」「●●はコントロールしやすい」といったクスリの優劣をつける人が少なからずいる。しかし、その発言は無責任に過ぎると危険ドラッグの取材を続けてきたライターの森鷹久氏はいう。大麻などのゲートウェイドラッグを軽い気持ちで使用したことをきっかけに、より依存性や副作用が強い薬物への扉を開いてしまった者の後悔と、薬物との関わりを絶つ唯一の方法についてレポートする。

 * * *
 薬物使用、所持による芸能人、有名人の摘発が相次いでいる。大きく報道されたものだけでも、今年3月にコカインを使用したとして逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)に端を発し、5月には元・KAT-TUNの田口淳之介(33)が大麻所持で、11月6日には同じく大麻所持でスノーボード元日本代表の国母和宏(31)、覚せい剤所持で元タレントの田代まさし(63)が検挙、そして今回、合成麻薬所持の疑いで女優の沢尻エリカ(33)が逮捕された。

 さて、一般人にとってみれば、大麻にコカイン、合成麻薬や覚せい剤、そして筆者が長らく取材を続けてきた「危険ドラッグ」との違いなど知る由もないだろう。全てが手を出してはいけない危険な薬物である、ということに変わりはないと、まず断言しておきたい。しかしここにきて若干の、いや、一部の若者にとっては「当たり前」になってしまった危険な感覚が蔓延しつつある。冒頭に羅列した芸能人の中でいえば、覚せい剤の田代のみがアウトで、他の芸能人は大麻やコカインだから”大したことがない”という風潮だ。

 もちろん我が国では、前述した薬物の所持はいずれも各法律によって厳罰に処される。しかし、前述の“大したことがない”という考えに染まっている人たちは、薬物の中で大麻は比較的ライトなドラッグとして捉えられている。彼らがよく例に出すのは、ヨーロッパの一部では所持も使用も合法であり、欧米でも嗜好用大麻の解禁が相次ぐなどしているという事実だ。そういった事情が、若者と大麻の距離を近づけていることは間違いない。さらにミュージシャンの中には、大麻だけでなくコカイン、合成麻薬の所持や使用で逮捕されても、復帰して人気を博している人だっていることから、覚せい剤以外の薬物犯罪は他の犯罪と違って軽いという奇妙な考えに至る人もいる。

 一方で、これらの薬物が「我が国では所持や売買が違法」とされている理由について、果たしてどれだけの人が理解しているだろうか。そこには、根拠と呼ぶには心許ない現実がある。深淵を覗く時、深淵もまた…、ということである。関東地方にある薬物依存者更生施設関係者の弁。

「大麻がタバコより依存性が低いなどといった研究結果があることは承知している。なぜ大麻を解禁しないのか、という声があるのもわかりますが、そもそも大麻の研究が、海外に比べて日本ではほとんど行われていません。医療用でも研究はこれからというレベルなのに、ましてや嗜好目的での解禁という議論などできるわけがない。だからといって薬物使用者が、そういった理屈、例えば自身が抱える難病の治療、症状緩和ために止むを得ず使っているのかというと、ほとんどが違います。国内での所有もダメなのに”法律がおかしい”といって購入して使用してしまう人たちには、そもそも遵法意識がない。法治国家において信用がない人ということ。遵法意識のなさは、暴力団など反社組織が付け入る格好の隙になります」

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン