「他人事とは思えない」──年頃の子供を持つ親なら誰もがそう思ったはずだ。11月23日、大阪・住吉区で行方がわからなくなっていた小学6年生の女児が無事保護された。女児は同月17日から行方不明になっていて、大阪から600キロ離れた栃木県小山市で見つかった。
報道によると、女児はSNSで連絡を取り合っていた小山市に住む伊藤仁士容疑者の自宅に、軟禁状態で過ごしていたとされる。使われたSNSはツイッターで、利用者同士が非公開でメッセージを送り合うことができる「ダイレクトメッセージ」という機能で連絡を取り合っていた。
女児の母親はツイッターの利用状況をチェックしていたというが、ダイレクトメッセージまでは確認していなかったという。プライベートなメッセージのやり取りを監視することは、たとえ親子の間でも気が引けたのだろう。
「周りの子はみんなやっている」「私だけやらないと会話についていけない」と子供から言われて、ついSNSの使用を許してしまう親は多いのかもしれない。しかし、SNSは便利なツールである反面、犯罪に利用される可能性のあるものであることを、大人が理解しておく必要があるだろう。
特に気をつけておきたいのは、SNSが出会いの場になっていることだ。ネット依存アドバイザーで若者のSNS事情に詳しい遠藤美季氏は言う。
「先日、小学校で出張授業したとき、『ネットでしか知らないお友達がいる人?』と聞いたら、6年生の4分の1が手を挙げました。手を挙げた子はみな、『相手の素性は気にならない』というのです。親や友達に言えないようなことも、匿名性のあるネット上でなら言えてしまう。大人はリアルよりネット上での人間関係に対して身構えてしまいますが、子供たちは敬語も使わずにすむし、逆に気軽になんでも話せると気を許してしまうのです」
一方で子供たちは、家の外で知らない人から声をかけられることには敏感で「怖い、絶対についていかない」とほとんどすべての子が言う。
「それは、親が『知らない人についていってはいけない』と子供に刷り込んでいるからです。しかし、ネット上で知り合った人に関しては『友達になってはいけない』と教えていない。ツイッターやインスタグラムといったSNSだけでなく、オンラインゲームでもSNSの要素のあるゲームは多数あり、出会いの場になっています。そうしたゲームを幼児の段階からやっているので、警戒心が育っていないのです」(遠藤氏)