東京五輪の第二次チケット抽選販売の受付が締め切られた。マラソンについては受付初日までに開催日程が確定していなかったため、今回は発売されていない。五輪での実施内容をめぐってゴタゴタ続きのマラソンは、もっと混乱が少ない変更が可能だったのではないか。経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。
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札幌開催となった2020年東京五輪のマラソンで男子の日程前倒し案が浮上していた問題は、従来の計画通り大会最終日の8月9日に実施されることになりそうだ。当初、大会組織委員会は競技後に出場選手が東京での閉会式に参加できるように日程を早める方針を示したが、IOC(国際オリンピック委員会)から最終日実施を模索するよう促されて元に戻すという。まさに“迷走”である。
そもそもマラソンが札幌開催になった経緯は、あまりにも不透明で不可解だ。それを不服とする小池百合子・東京都知事の「合意なき決定」という皮肉を込めた言葉ばかりがクローズアップされたが、IOCという国際的な組織がこうした問題を決定する場合、密室会議の結論を強権的に押し付けるのではなく、複数の代案を俎上にのせてオープンな議論をすべきである。今回の混乱はIOCの欠陥を曝け出したものであり、五輪を真の「アスリートファースト(選手第一)」にするためには、ゼロベースの改革が必要不可欠だ。
実際、今回のマラソン・競歩のコースについても、国内で議論すれば、もっと良案が出たかもしれない。
たとえば、長野県軽井沢町なら8月の平均気温は20.5度(最高気温25.9度、最低気温16.7度/※気象庁のデータ。1981~2010年)だ。東京の平均気温26.4度(最高気温30.8度、最低気温23.0度)より5~6度低く、札幌とほぼ同じである。