小柄な選手が多い女子体操選手のなかでも、さらに小柄だった鶴見虹子さん(27)。2009年、ロンドンで開催された世界選手権の女子個人総合で銅メダルを獲得したときも表彰台でひときわ小さい姿が目立った。「小柄だからこだわった美しく見せる技術」など、小さな体格での悩みだけでなく、武器になったことについて鶴見さんに語ってもらった。
引退してから身長が3cm伸びて143cmになりましたが、150cmくらいになりたいですね。体操選手は小柄な人が多いのですが、その中でも私は小さい方でした。そもそも家族全員が小柄で、父は160cm以下で、母も150cm以下。姉は私と同じくらい。靴のサイズは21.5cmなので、オシャレしたくても服や靴の選択肢が限られてしまうのが悩みです。
体操では、小柄な体格が武器になることもあります。たとえば段違い平行棒では、高いバーから低いバーに飛ぶ際に、背の高い選手は脚がバーに当たらないよう開脚します。それでもバーに当たって減点されることがありますが、私は開脚する必要がない。何も気にせず飛んでいました。逆に跳馬は不利。身体が大きい選手のほうが、よりダイナミックに飛ぶことができるからです。概して欧米の選手は体格も良くパワーがありますが、華奢な日本や中国の選手は技術で勝負します。私自身も基本技術をしっかり磨き、いかに美しく見せるかを考えていました。