振り返ってみればメンバーの能力差が極めて大きいレースだった、ということもあるのが2歳GIである。競馬ライター・東田和美氏が分析した。
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平成以降の桜花賞馬31頭のうち、阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)に出走していたのは12頭で9頭が3着以内。また桜花賞で1番人気になりながら勝てなかった21頭のうち12頭がJFに出走して8頭が勝っており、すべてが3着以内。ともに勝っているのは4頭と意外に少ないので、JFがすべてとは言わないが、次週の朝日杯フューチュリティSよりは、来年のクラシック、とくに桜花賞につながっていると言える。
どの馬もキャリアが浅いので、過去のデータをもとに予想をすることの愚は重々承知している。むしろ、傾向から外れた「異端」を探し出すことが大事だと自戒しているが、上位馬は、この時点ではみな来春のクラシック候補らしい成績を残している。
JFの前身、阪神3歳牝馬Sが始まったのは1991年。勝ち馬28頭のうち、3戦3勝が2頭、2戦2勝にいたっては8頭。この10頭のうち8頭は重賞かオープン特別を勝っている。2頭がキャリア5戦で勝っているが、いずれもこのレース後一度も入着がない「異端」。
一方、1995年に3連勝で2歳女王になったビワハイジの娘であるブエナビスタとジョワドヴィーヴルは、ともに初勝利後に2歳女王の座をつかみ取っている。この2頭を含めて1勝馬でも過去7勝している。
勝ち馬のうち馬券圏内を外したことがあるのは4頭だけ(うち2頭は前出のキャリア5戦馬)。2002年以降の勝ち馬は、それまで4着以下に敗れたことがない馬ばかり。2着馬でも4着以下の敗戦があるのは5頭だけで、2002年以降は1頭だけ。3着馬で圏外に敗れた過去を持つ馬は28年間で3頭しかいなかった。
平成以降の桜花賞馬を見ると、31頭中21頭がデビュー勝ちで2着が7頭、3着は2頭だが、これがブエナビスタとアパパネ。レジネッタだけがデビュー戦10着、さらにJFも6着という結果だったが、桜花賞を12番人気で勝ち、700万馬券の立役者になっているように、やはり「異端」の馬だったのだ。31頭中22頭は2戦目以降も3着以内をキープし続け、本番で桜の女王となった。
ノーザンファーム生産馬は2007年からの6連覇をはじめ、過去9勝。昨年は3着まで独占、一昨年もワンツーを決めている。このレースに限らず、GIとなるとノーザンファーム生産馬ばかりになることも多いが、今年のJFは3頭の出走にとどまっている。
人気の中心は、そのうちの2頭、新馬→重賞と連勝してきたリアアメリアとレシステンシア。さらに、やはり新馬→重賞勝ちのダーレーJF生産ウーマンズハートを加えて3強と言われているが、この3頭の組み合わせでは、とうてい高配当は期待できない。