中国ではフィットネスクラブの従業員が経営者に対して、給料の未払いに抗議して労働争議を起こすケースが増えており、今年だけで少なくとも40件の抗議デモなどが行われていたことが明らかになった。フィットネスクラブをめぐる労働争議は今年に入って急激に増加しており、昨年は15件、一昨年はわずか1件だった。
この背景には中国の都市住民の健康志向の高まりに伴い、フィットネスクラブが乱立し、経営計画がずさんなまま出店したことで、資金繰りが悪化したことにある。同様の例は中国では3年前のレンタサイクル店が激増するも、いまでは大手2社を残して、他の大半の業者が倒産したケースがある。
香港を拠点とする中国の労働問題専門の民間研究機関「中国労工通報(チャイナ・レーバー・ブルティン)」によると、今年11月17日、中国東北部のハルビン市で「マンゴ・フィットネスクラブ」が突然閉店し、経営者の消息が分からなくなってしまった。店の玄関は施錠され、従業員が入れなくなったが、警察に通報して、玄関ドアを壊してもらい、フィットネスクラブ内に入ったという。
経営者が残した書類などを調べると、数百万元(1元=約15.4円)の借金があり、従業員に給料を支払うことができる経営状態ではなかったという。また、フィットネスクラブの会員のなかには、年会費を払っている者もおり、フィットネスクラブが倒産したことで、会費の払い戻しを求めているが、それも無理な状態だという。
従業員たちは警察に訴えるも後の祭りで、ハルビン市政府にも救済を求めたが、「民間の問題であり、市政府はフィットネスクラブの運営には一切かかわっておらず、われわれができる行政的な措置はまったくない」とつっけんどんな対応だったという。結局、従業員や会員は泣き寝入りをするしかない状況だ。