女子ツアーの最終戦「LPGAツアー選手権リコー杯」の中継は、平均視聴率13.6%と今シーズン最高をマーク。瞬間最高は16.1%で、渋野日向子が18番でバーディを決めた瞬間だった。惜しくも賞金女王こそ逃したものの、大ブレイクを果たす1年となった。
その強さの裏には、これまでの“ゴルフの常識”を覆すいくつもの凄ワザがある。一つが「球筋」だ。
「これまで、とくに女子プロの場合はコントロールしやすくて安全な『フェードボール』を持ち球にするのがセオリーでした。それが今季は、1998年生まれの“黄金世代”を中心に『ドローボール』を武器にする選手たちが活躍を見せた。その代表格が渋野です」(ゴルフ担当記者)
ドローはフェードに比べて飛距離が出るが、曲がってOBやラフの危険が大きいとされてきた。
「ところが、渋野はドライバーでドローを打って正確に遠くへ飛ばし、バーディやイーグルを奪う。だから、9月のデサントレディース東海クラシックの最終日に8打差を大逆転したような劇的な勝ち方ができる。
渋野のスイングの特徴としてわかりやすいのは、スタンス幅が広く、アドレスでの手の位置が低いこと(ハンドダウン)。アドレスに安定感があり、スイング中も軸がブレずに振り切っている。そうやって力強いドローを飛ばしていくのです」(同前)
わかりやすいだけに、つい真似したくなるが、プロゴルファーの沼沢聖一氏はこう注意を促す。