ドラマでは個性豊かな登場人物たちがさまざまなストーリーを展開していく。彼らのキャラクターをイメージづけるのに大きな役割を果たしているのが、ファッションだ。今シーズンのドラマでは、どんな役割を果たしているのか? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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いよいよ大詰めを迎えた今シーズンのドラマ。見渡して気がつくのは、それぞれの個性を象徴する主役たちのファッションだ。
たとえば、私が「スーパーポロシャツ男」と名付けた『まだ結婚できない男』の阿部寛。 「フン」と嫌な顔をして屁理屈をこねては周囲の女性たちにげんなりされている建築家の桑野(阿部)の定番の服装といえば、ポロシャツだ。仕事のときもひとりで凝った料理を作るときも、黒やネイビーのポロシャツを愛用。カーキもお好みのようで、ドラマのオープニング映像では、カーキのポロシャツにカーキのパンツ姿でカーキのハンモックにゆらゆらされている。そろそろ寒くなってきたと思ったら、ちゃんと出ました長袖ポロシャツ。ちょっと気になるカフェの経営者 (稲森いずみ)と観劇に行ったり、鼻息の荒い弁護士まどか(吉田羊)と会うときには、ポロシャツの上にジャケットをオンするのである。
思えば、13年前の『結婚できない男』の桑野もポロシャツ愛好者であった。ポロシャツ着用には、桑野のこだわり不変ぶりを象徴するという大事な意味があるのだ。
もうひとり、ファッションに意味があったのは、『時効警察はじめました』の霧山修一朗(オダギリジョー)。警官の制服を脱いで、趣味の時効事件捜査をする際には、常に長い襟がとんがった古着風の柄物シャツにぴたぴたのジャケット姿。ドラマの中で刑事課の彩雲(吉岡里帆)に「イタリアの靴の先みたい」と素晴らしすぎる表現で指摘された霧山の服装は、どう見ても警察官に見えず、「趣味です」と言われた相手もそんな格好してるならそうかも?と信じさせる効果があった。
対照的なのは、『おっさんずラブ-インザスカイ-』の春田創一(田中圭)と『グランメゾン東京』の木村拓哉だ。