日本中を震撼させた兵庫県尼崎市での神戸山口組幹部銃殺事件は3つの山口組抗争が「市民を巻き込むことも厭わぬ本格抗争」に移行したことを示した。
いま、神戸山口組の怨嗟を一身に集めているのは、六代目山口組を支配する弘道会に違いない。神戸山口組側の組長たちは弘道会の強権支配に反発し、山口組から飛び出したのだ。そのうえ弘道会のヒットマンは、分裂以降、3人の神戸山口組系幹部、組員を殺害している。
まず分裂の翌年、岡山市を本拠とする神戸山口組の有力団体、池田組の若頭を射殺した。神戸側の報復はまだ実行されず、弘道会傘下のヒットマンはすでに無期懲役で服役している。
今年4月には山健組の若頭をナイフで刺し、10月には弘道会傘下の68歳のヒットマンが、週刊誌のカメラマンになりすまし、山健組事務所前で2人を射殺した。
弘道会関係者の地盤はその代名詞にもなっている愛知県の名古屋である。地方都市で見知らぬヤクザ者が徘徊すれば目立ってしまうが、都会は殺意の隠蔽には最適だ。すでにヒットマンがどこかに身を潜めているかもしれない。
「神戸市にある山口組総本部は、10月の山健組組員殺害事件直後から使用禁止となった。同時に神戸の山健組本部や、名古屋の弘道会の事務所にも暴対法による使用禁止命令が下されている。しかし名古屋近郊には弘道会傘下団体の事務所があちこちにあって、餅つきといった六代目山口組幹部が集まる行事も名古屋の弘道会拠点で行なわれるはず」(警察関係者)