近年の私立中学入試は、大学までつながっている付属校の人気が以前にも増して高まっている。その傾向は2020年度入試に向けた各種模擬試験の動向からも明らかだ。そんな中でも“狙い目”となりそうな学校はないのか──。安田教育研究所代表の安田理氏が、「早慶系」、「GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)系」、「日大系」、「東海大系」別に探ってみた。
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ご承知の方が多いかと思いますが、2016年度以降、政府の「地方創生政策」の一環で、23区内の大学の定員の厳格化が始まりました。定員を守るには合格者発表数を減らすしか手がありません。そのため有力私大が軒並み難化しました。
また、大学側がAO入試、推薦入試の募集枠を広げる方向にあるため、有力私大の一般入試が今後狭き門になるのではと保護者が警戒した面もあります。わが子の受験時にはもっと難しくなるのではと心配した保護者がわが子を付属校に入れようとしているのです。
そうした流れを受けて、付属校でなくても、例えば青山学院大学の系属、準付属となった青山学院横浜英和(前横浜英和女学院)や目黒日本大学(前日出)、青山学院大学系属浦和ルーテル学院(前浦和ルーテル学院)といった学校も2019年度入試では受験生が急増しました。いまや大学につながっていることが学校選択の大きな要素になっているのです。
◆早慶系、GMARCH系の付属校の中での狙い目は?
中学入試の世界には、大勢の受験生が学力を測るために受ける“4大模試”があります。各模試とも高学力層から低学力層まで幅広い受験生がいるので、おおざっぱな区分けですが、受験層の学力レベルを高いほうからいうと、SAPIX、四谷大塚、日能研、首都圏模試となります。
付属中学の入試における難易度は、ほぼ併設大学の難易度に比例しており、早稲田系、慶應系、学習院系、明治系、青山学院系、立教系、中央系、法政系などはやはりSAPIXの模試の動向が当てになり、日大系、東海大系、女子大系などは首都圏模試を受けている層が多くなっています。
そこでこの2つの模試の11月の数字を見ていこうと思います。中学によっては入試回数を増やしたり、午後入試を導入したり、いろんなタイプの入試を増やしたりといった要因で志望総数が変動し、前年と比較できないので、2月1日から3日までの第1回入試の動向に注目していきます。