来春の選抜甲子園から「球数制限」が導入され、全国の強豪校はこれまで以上に分厚い選手層でトーナメントを勝ち上がっていく必要が出てきた。有力な中学生球児を巡るスカウト合戦もどんどん熾烈になっている。そうしたなか、全国の高校野球関係者から注目を集める15歳の球児がいる。激変する高校野球の現場を描いた『投げない怪物 佐々木朗希と高校野球の新時代』の著者であるノンフィクションライター・柳川悠二氏が、レポートする。
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2020年春の高校入学を控える中学生球児にあって、注目度ナンバーワンの15歳が、千葉・京葉ボーイズに所属する外野手・海老根優大だ。全国の強豪校が関心を寄せた逸材であり、アメリカ・メジャーリーグのドラフトになぞらえるなら、今年度の1巡目全体1位指名の選手である。全国でも随一の大阪にある名門私立への入学が有力視されている。
海老根は今年11月に愛媛県で開催されたアジアチャレンジマッチにU-15侍ジャパンの一員として出場し、松山市代表との初戦ではプロ野球の試合も開催される坊っちゃんスタジアム(両翼99.1メートル)のレフトスタンド中段に、特大の本塁打を叩き込んだ。さらに次の打席でも無死一塁から左翼線に二塁打を放つ活躍で、チームの勝利(13対3、6回コールド)に貢献した。
試合後、海老根は言った。
「(本塁打は)ツーストライクノーボールからの真っ直ぐでした。走者もいなかったですし、あの打席はホームランを意識して打席に入りました。はい、打った瞬間、入ると思いました。次の打席は、大きいのを狙わず、前の打席で真っ直ぐを打ったので初球は変化球だろうと。初球のカーブを力まず、軽く打つことができた。良かったです」