〈NHK〉2020応援ソング「パプリカ」を歌う「Foorin」の最年少メンバー、新津ちせちゃん。『1日1ページで身につく! 小学生なら知っておきたい教養366』(小学館刊)を上梓し、子どもの教育について造詣の深い明治大学文学部教授の齋藤孝氏。「教養が必要」といわれて久しい昨今、「教養とはなにか」「どうしたら身につけられるか」について、小学3年生のちせちゃんが齋藤氏と語り合った。ふたりの年の差は50。にも関わらず、齋藤氏が「同じ話題で盛りあがれる小学生がいるとは!」と驚いたやりとりとは──。そこには“教養”が身につくヒントがあった。
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◆知っていることが、大事。
齋藤:ちせちゃんは、百人一首が好きって聞きました。
新津:はい、大好きです。私が通っている小学校では、毎年3学期に百人一首大会があるので、覚えるために読み始めたら、歌に込められた昔の人の思いが伝わってくることがおもしろくって。なかでも好きな句は、22番の…。
齋藤:22番の!? すごいな、番号でも覚えてるんだね。
新津:はい。文屋康秀(ふんやのやすひで)さんがつくった歌で、「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ」。
齋藤:おお、すごい(拍手)。
新津:山に大きな風が吹くと、草や木がしおれちゃう。それを見て、文屋康秀さんが、「なるほど、だから山に風で嵐と書くんだな」と。この歌を知ったとき、漢字のパズルみたいでおもしろいなぁって。
齋藤:確かにパズルみたいだね。百人一首を覚えていると、千何百年前の人と気持ちが通じるよね。
新津:はい、昔の人はこんなふうに考えていたんだなって思います。
齋藤:桜の花は好き?
新津:はい、好きです。
齋藤:桜の花が散るのを見ると、どんな感じになる? 花が咲くのもきれいだし…。
新津:散るのもきれいな感じがします。あっ、百人一首には、花が散っていくのは悲しいっていう歌もありますね。
齋藤:「ひさかたの 光のどけき春の日に 静心なく 花の散るらむ」(紀友則)、なんでそんなに慌ただしく桜の花が散っちゃうんだろうか、っていう歌だね。でも実は、桜の花がきれいと思っているのは、世界中の人みんなじゃないんだ。
新津:え〜っ、そうなんですか!
齋藤:日本人がとりわけ、桜の花が散るのもきれいって思っているんだ。なぜなら、昔の人がたくさんの歌にして詠んでいたから。歌を知っている日本人は、桜を見ると「ああ、きれい」って感じるんだよ。
新津:たしかに、もし桜について何も知らなかったら、花が散っているのを見たとしても、ただ、散っているなぁっていうだけで、そこまで気にしないかもしれないですね。