とりわけ「半グレ」と呼ばれる反社集団が治安を脅かしている中で、政府が閣議決定で「反社の定義」を否定したことは国の治安の根幹を揺るがしかねない事態なのである。この発言は民主政治の危機を招く「大賞」にふさわしい。
憲政史上最長となった安倍政権は、発足以来、数々の政治・行政のモラルを破壊してきた。
「大臣室での現金授受」の甘利明氏や「国会でのウソ答弁」の稲田朋美氏ら不祥事で辞任した側近大臣を重職に復権させ、首相を庇った官僚をどんどん出世させる。その結果、政界にも、霞が関にも、「総理を守るためにやった不正は許される」という“忖度無罪”の考え方が蔓延している。
財務省の公文書改ざんも、厚労省の統計偽装も、そして桜を見る会の“反社容認”も、そうしたモラルハザードが招いたものだ。
2020年は政治の危機を食い止められるか、正念場になる。
※週刊ポスト2020年1月3・10日号