国内

いじめの原因は管理教育 「規則」はいじめの道具に

会場には幅広い世代が集まり、小・中学生の姿も多かった。なかには地方から駆けつけた人も(撮影/浅野剛)

 世界主要国63か国の「世界競争力ランキング2019」(IMD=国際経営開発研究所)では、日本は順位を5つ下げ30位に。東アジアの中でも、シンガポール、中国、台湾、タイ、韓国の後塵を拝した。今こそ「子どもたちが主役」の学校づくりを進めていくべきではないか──。危機感を共有する4人による、緊急講演会が行われた(11月30日、東京・世田谷)。

【講演会登壇者】

◆世田谷区立桜丘中学校長・西郷孝彦さん/養護学校(現:特別支援学校)を経て、都内で理科と数学の教員に。2010年より現職。常に生徒に寄り添い、「校則なくした中学校長」として知られる。著書に『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』がある。

◆教育評論家・尾木直樹さん/法政大学名誉教授。中学、高校、大学で計44年間教壇に立つ。尾木ママの愛称で親しまれ、NHK Eテレ『ウワサの保護者会』などに出演。

◆麻布学園理事長・吉原毅さん/2010年に城南信用金庫理事長に就任し、相談役、顧問(現職)に。2017年に「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」創設。同年より麻布学園で現職。

◆世田谷区長・保坂展人さん/1996年に衆議院議員初当選。児童虐待防止法の成立(2000年)に携わる。総務省顧問を経て2011年より現職。教育ジャーナリストでもある。

 学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年度より小学校、2021年度より中学校で実施される。そこで大きく打ち出されているのが、「生きる力」を育み、子どもたちが主体的に学ぶということ。

 だが実際は、ブラック校則がはびこり、学校側が「子どもを管理する」という姿勢が改善されたとはいえない。

 教育の第一線に立つ4人によるトークイベントを主催したのは、桜丘中学校の保護者有志。同校は校長・西郷孝彦さんが“すべての子どもたちが幸せな3年間を過ごすにはどうしたらいいか”を追求し、校則を含めたあらゆる管理を撤廃してきた学校だ。この日、桜丘中学校の日常がスライドで紹介されたが、そこで学ぶわが子の生き生きとした様子を肌身で感じてきた保護者が、同校の活動内容や実情を広く知ってもらい、これからの公立中学校全体のあり方を考える契機になればという思いから開催。キャンセル待ちも出て、約1000人が来場した。

 だが、桜丘中学校も、はじめから今のような学校だったわけではない。

「最初は校則の見直しから始めたのですが、きっかけは、生徒が校長室にやって来て“校則に疑問があって楽しくない”と言ったからでした。

 これに限らず、目の前の子どもたちを見ながら、この子が困っているならどうすればいいか。この子以外にも同じ悩みを抱えている子がいるんじゃないか。そう考えながら、一つひとつ変えていったら、校則もなければ定期テストもチャイムも鳴らない、服装も髪形も自由という学校に生まれ変わりました」(西郷さん)

 同校を訪れたことのある教育評論家の尾木直樹さんは、「学校で学んだことがいかされる社会になっていない」と言う。

関連記事

トピックス

10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
前回は歓喜の中心にいた3人だが…
《2026年WBCで連覇を目指す侍ジャパン》山本由伸も佐々木朗希も大谷翔平も投げられない? 激闘を制したドジャースの日本人トリオに立ちはだかるいくつもの壁
週刊ポスト
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン