中国の大学では、教員が授業中の発言やネット上で発表した意見や論文などが「マルクス主義に合わない」あるいは「中国式社会主義から逸脱する」などの理由で、共産党当局によって、解雇や停職などの処分を受けるケースが増えている。12月に入って、四川軽化学工業大学マルクス主義学院の副教授(准教授に相当)が不当な言論を行ったとされ、「行政処分」を受けたことが分かっている。
中国では過去2年間で10人以上の大学教員が処分を受けるなど、1950年代の反右派闘争や1960年代の文化大革命を思わせるような言論封殺事件が起きている。この背景には、当局が学生に密告を奨励していることがあるとみられ、習近平最高指導部の保守化が目立っている。米国政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が報じた。
行政処分を受けた四川軽化学工業大学の教員は李志氏で、「不当な言論を何回も繰り返して発表したことで、大学教師の準則を破った」ことから、副教授の職を解任された。
同大の所在地である四川省重慶市の地元メディアによると、李氏はこれまでも何度も当局から注意を受けていたが、まったく反省することがなく、中国教育省が定めた「新時代の大学教師の職業行為10カ条準則」にも何度も抵触していたとされる。
この10カ条の準則の中には「普遍的価値、報道の自由、市民社会、市民の権利、党の歴史の誤り、特権貴族的資産階級、司法の独立」といった教師が学生に話をしてはいけないという、いわゆる「七不講」も含まれている。これに従うと教師は学生に対して、「中国共産党の一党独裁体制を否定するような話をしてはならない」ということになる。