ライフ

「フェミニズム」の足を引っ張る「悪いフェミ」の特徴を考察

働き方も変化している

 2019年も社会構造の大きな変化を実感した1年だった。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 先日発表された「世界ジェンダー・ギャップ報告書2020」、いわゆる「男女平等ランキング」の「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は世界153カ国中121位という極めて不名誉な順位になりました。去年の110位から11下がって、過去最低の順位です。

 この指数は、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標について男女間の格差を算定したもの。比較の基準や集計方法にケチをつけている人(たぶん全員男性)もいますが、世界的に見て日本がかなり残念な「男女差別大国」であることは間違いないと言えるでしょう。

 ただ、希望がないわけではありません。2019年は「フェミニズム」に今まで以上に注目が集まり、議論や問題提起や抗議などの行動も盛り上がった年でした。素晴らしいことです。女性も男性も手に手を取って、それぞれの既得権益にしがみついたりせず、いい関係を目指していきたいもの。男性としては無自覚な差別意識を反省しつつ、至らない部分はどうにかしていく必要があるかと存じます。

「フェミニズム」という言葉は、辞書によると「男女同権と性差別のない社会をめざし、女性の社会的・政治的・経済的地位の向上と性差別の払拭を主張する論」(『大辞林』より)とあります。「フェミニスト」は、それを主張する人のこと。日本語では、女性を尊重し、大切にする考え方を「フェミニズム」と言うこともあります。

 もちろん、その主張に何の異論もありません。私たち男性としても、まずは日常生活で「フェミニズム」の考えに沿った言動を心がけたいところ。声は小さくても、世の中や自分の周囲をいい方向に変えたいと思っている人たちは、れっきとした「フェミニスト」と言っていいでしょう。及ばずながら、自分もそうありたいと思い続けています。

 10年前の日本、いや5年前の日本と比べて、職場内でのセクハラや女性の地位、父親の育児参加といった「男女の問題」をめぐる状況は、まだまだダメダメな部分のほうが多いかもしれませんけど、ずいぶんマシになりました。「フェミニズム」の大切さを認識している人も、男女ともに確実に増えています。

 それはひとえに、行動力や発言力がある多くの「フェミニスト」のみなさんが、もっと「フェミニズム」を広めたい、性差別をなくしたい、男性と女性のいい関係を作っていきたいと、声をあげて行動を起こしたから。無理解から来る逆風も多い中、その勇気と毅然とした姿勢には心から敬意を表します。自分が男性であるということ以外に心の支えがない一部の男性が、おバカで不愉快な噛み付き方をして本当に申し訳ありません。

 さて、順調に広まりつつあるように見える「フェミニズム」ですが、思いっ切り足を引っ張っている迷惑な人たちが存在します。それは「悪いフェミ」の人たち。「良いフェミニニズム(フェミニスト)」の最大の敵は、頭の固いオヤジでもゆるふわ女子でもなく、一部の「悪いフェミ」に他なりません。……ああ、言ってしまいました。

関連記事

トピックス

中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
第三者委員会からハラスメント被害が蔓延していたと指摘されたフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビの“あしき習慣”》古くからあった“女子アナ接待”の実態、仕切りは人気ドラマのプロデューサー スポーツ選手との関係構築のため“利用”するケースも
NEWSポストセブン
マンジャロは腹部に注射する
《美容クリニックで流行》糖尿病治療薬を使った“GLP-1ダイエット”に専門医が警鐘「安全性が不明」「医療倫理的に問題ある」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
公的年金は「社会的扶養」「国民の共同連帯」「所得再分配機能」(写真提供/イメージマート)
《まるで借りパク》政府の基礎年金(国民年金)の底上げ案 財源として厚生年金を流用するのは「目的外使用」ではないのか、受給額が年間8万円以上減額も
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト