2019年10月の箱根駅伝予選会で出場を逃した大学のエースから選出される関東学生連合に、東京大学のランナーが選ばれた。混成チームで主将も任されることになった岩手県出身の阿部飛雄馬(4年)は「箱根を走るために東大を受験した」という個性派だ。阿部に大会にかける意気込みを聞いた。
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気負いは特にはないですね。ただ、箱根駅伝創設100年の記念すべき大会で主将を任されるというのはとても光栄で、一生ものの経験になる。だから出場するだけで終わらせたくないし、強豪校でなければ箱根で戦えないという常識を変えていきたい。東大生でもここまでできるんだと中高生に感じてもらえるような、歴史に残る走りがしたいと思います。
出身は岩手県西部の人口5万人の滝沢村(2014年に市制に移行)です。陸上競技を始めたのは中学から。真面目に練習したら県大会に出られるようになって、手応えを感じたんです。
進学した盛岡第一高3年の時の高校総体では、3000m障害に県代表として出場しました。障害走を選んだのは、強い選手が5000mとかを選ぶから“穴場”の種目で狙い目だったからです。
5つ上の兄が早稲田大の競走部に入部した影響もあって、中学の頃から箱根駅伝に出たいという思いはありました。見るのも好きで、駒澤大学の窪田忍選手(2010年7区、2011年9区で連続区間賞、現・トヨタ自動車)やマラソン東京五輪代表になった中村匠吾選手(2014年1区区間賞、現・富士通)のガッツのある走りに惹かれました。
ただ、“自分が歴史をつくる”ことへの憧れもあったので、大学受験が近づくにつれ強豪校に行くのではあまり面白くないなぁと。やるなら最高峰の大学から箱根を目指そうと考えたんです。
とはいえ余裕で受かるような学力はなく、浪人している間は毎日12時間、予備校に篭っていました。