いよいよ今年2020年以降に施行される新学習指導要領において小学校でのプログラミング教育が必修となる。なぜ今プログラミング教育が必修化となったのか、また子どもたちはどのように学ぶことになるのかご存知だろうか。何か家庭で取り組むべきことは? 元小学校教員で自身も子どもに対して家庭でプログラミング学習に取り組ませているITジャーナリストの高橋暁子さんが、プログラミング教育の実態と目的、家庭でできる取り組みについて解説する。
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「うちの子はプログラマーにならないから、(プログラミング教育は)必要ないと思うんですけど……」。小学生の保護者からそのような言葉を聞いたことは何度もある。プログラミング教育を学ぶ意義がわからない上、子どもに質問されても答えられないと、不安を抱く保護者も多いようだ。
実は、「プログラミング」という科目が導入されるわけではなく、あくまで教科学習内で取り組むこととされている。それゆえ小学校段階では、いわゆるプログラミングでイメージするようなコード(プログラミング言語)を書くことはしない。
プログラミング学習に使う教材も、ビジュアル型プログラミング言語「スクラッチ」などを使った、命令が書かれた日本語ブロックを組み合わせるタイプのものがほとんど。「ずっと~」「もし~なら~でなければ」「◯歩動かす」「~と◯秒言う」などの構文があらかじめ書かれた日本語ブロックをパズルのように動かし、文章を組み立てればプログラムできるようになっているのだ。
つまり、プログラム言語を覚えることではなく、あくまでプログラミング的思考、つまり論理的思考力を身につけることを目的としているというわけだ。プログラマーなどにならなくても、問題解決につながる論理的思考力が必要なことには異論ないだろう。
基本的にはプログラミング技術へ直結させるための教育ではないが、子供たちの将来の可能性を広げるのは間違いない現実もある。2016年6月に発表された経済産業省の調査によると、IT系人材は90万人に対して約17万人不足しており、さらに不足数は拡大する見込みとなっているからだ。
世界的に見ても、イギリスやフィンランドなど、義務教育段階でプログラミング学習を導入している国が増えている。基礎学力のひとつとしてプログラミングに親しんだり、論理的思考力をつけることは、これからの時代を生きていく子どもには必要なことなのだ。