南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督を歴任した野村克也氏(84)。彼が球界に残した「野村チルドレン」は数多く、今季はかつて指導したことのある5人が監督としてチームを率いることとなった。“教え子監督”に期待することは何か。名将は、かく語った。
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「野村チルドレン」と呼ばれる野球人が、何人も監督となってペナントを争う。悪い気はしないね(笑い)。教え子たちが球界を引っ張ってくれるのは本当に嬉しいよ。
来季から初めて監督を務めるのはヤクルトの高津臣吾と、楽天の三木肇か。
高津は監督就任会見で、私から「野球の難しさ、奥深さを学んだ」と語ってくれた。三木は「野村監督から学んだことが土台になっている。“野村の考え”をベースに、考える野球を目指したい」と目標に掲げてくれた。監督冥利に尽きる。
この世界は結果。結果を出せば評価は高くなるが、負ければ彼らは「野村のモノマネ」と批判されて、簡単にクビになる。結果良ければすべて良し、だ。
ただ、名将の条件とは「勝利」だけではない。結果を出すまでのプロセスが問われてくる。信は万物のもとをなすと言うが、監督に必要なのは選手やコーチからの信頼。それが名将の唯一の条件だと私は考えている。トップに信頼・信用がないと組織の歯車はうまく回らない。それと同じで、選手がいかに監督を信頼・信用しているか。これがないとチームづくりはできない。
一度できた信頼関係はなかなか崩れない。ドラフトやトレード、FAでいい選手をかき集めるのは間違いではないが、絶対ではない。チームを強くするには、監督が選手より一歩も二歩も前を歩いて、選手たちがその道を信頼してついてくることなんです。