高額な建設費用が批判されて新国立競技場のデザインは変更されたはずなのに、実際にかかった工事費がどうなったのかは、ほとんど誰も口にしなくなった。「コンパクト五輪」という掛け声のもと、五輪をめぐる国の予算の行方を追うと、水素ステーションや山口・錦帯橋ライトアップなど、「五輪」という名目で数多くの関連施策が浮かび上がってきた。かつて東日本大震災の復興予算流用問題をスクープしたジャーナリストの福場ひとみ氏が、ドラマなどメディア関連への支出について調査した。同氏が会計検査院の報告書をもとにリポートする。
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外務省は所管の国際交流基金を通じて、「文化芸術交流事業」として142億円を拠出。そのなかで、人気のテレビ番組を海外に売り込むための共同制作費用を出している。
たとえば2015年、テレビ朝日の米倉涼子が主演した人気ドラマ『ドクターX 外科医・大門未知子』の英語吹き替え版共同制作に4200万円を支出。その後も2016年に6600万円、2018年に2100万円をそれぞれ支出している。シリーズのたびに英語版をつくるための支援をしているということだろう。
ほかにも、フジテレビの関連会社であるフジクリエイティブコーポレーションには2016年、名作ドラマ『北の国から』の英語・スペイン語への吹き替え版共同制作と海外テレビ局への提供で7600万円などがあるが、なんと言っても巨額なのはNHKである。2018年には、朝ドラ『ひよっこ』、『ごちそうさん』、『とと姉ちゃん』3作の英語・スペイン語共同制作等にそれぞれ8600万円、1億3100万円、3300万円を支出している。