フリーライター鈴木智彦氏が山口組を含む現役組員100人にアンケート調査を実施した。一触即発の緊張感のなか、質問をぶつける作業はしんどい作業だったというが、聞き取り調査の結果は変わりゆく暴力団の実相を知る手がかりとなるはずだ。
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◆Q:年金保険料を払っていますか?
はい:9人
いいえ:71人
以前は払っていた:20人
暴力団情勢を追いかけて25年経ったが、こんな質問をヤクザにぶつけたのは初めてである。そして約1割が今でも国民年金を支払い、以前、支払っていた組員を含めれば3割近くになることも初めて知った。暴力団員が年金を納付しなくなった裏には、暴排条例が影響していた。広域組織の二次団体総長は2011年の暴排条例の施行まで30年近く年金を支払っていたという。
「暴排条例によって、ヤクザは表の仕事が出来ないことになっている。銀行口座も持てないし、協力者が違法になるからだ。そのためヤクザの大半は表向き“無職”でなければ辻褄が合わなくなった。無職で無収入だから住民税も、健康保険料も最低ランクだし、年金は申請すれば免除になる。もらう気はないけど、支給されるかどうかは気になる」
ということなので厚労省年金局事業管理課に暴力団員は年金を受給できるのかたずねた。