どうやら朝ドラの評判が芳しくないようだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
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NHKの連続テレビ小説『スカーレット』も折り返し地点にさしかかりました。しかし、このところ平均視聴率は20%に届かないことが大半で、特に新年明けてからは2日連続17%台へ。いったいなぜ下降気味なのか。今一つ盛り上がらない原因は、どこにあるのでしょうか?
主人公は滋賀県・信楽で夫と陶芸に取り組む喜美子(戸田恵梨香)。女性陶芸家の草分けをモデルにした、波乱万丈の人生を描くドラマです。一方、撮影現場では夫・八郎役の松下洸平さんと戸田さんはとても仲が良いようで、「深夜の親密酒現場!」と週刊誌で報じられたほど。この記事が出て「主婦層はスキャンダルが嫌い」という理由で視聴者が離れたのでは、という指摘もあります。しかし、盛り上がらない理由は本当にそこなのでしょうか。もっと根本的なところに問題があるのかもしれません。
「最近朝ドラを一生懸命見なくなった」「今回は録画も消した」と感想を口にする視聴者に理由を聞いてみると、役者の好き嫌いというより脚本や演出について指摘する人が多い印象です。辛口の意見を観察・分類してみると──。
●陶芸という仕事に対する描写が稚拙で不十分、という声
主人公たちは口は動かすけれど手は動かさず。仕事に対するリアリティがない、職人仕事に見えない、どうやって生計を立てているのかわからない、といった感想が目に付きます。職人仕事といえば身体的にも精神的にも厳しいもの。しかしこの夫婦はテーブルに座って釉薬の具合を見たり、話をするシーンがたしかに目立ちます。あるいは職人に弟子入りすれば最低限の礼儀は当然ですが、八郎が弟子を取るシーンでは二人の弟子が師匠の前で喧嘩してばかり。粘土を手にとるシーンもなく、辞めた後には師匠の家に盗みに入る、というあきれた展開でした。
たしかにこれでは、ストーリーを回すがために陶芸の仕事を使っている、というご立腹の声も聞かれそう。特に信楽焼は自然釉が基本で土に特徴があるだけに、そうした地域特性が全く伝わってこない、という指摘も真摯に受け止める必要がありそうです。
●筋立てがダイナミックさに欠けるという指摘
「恋人を連れてきた」「夫婦が離婚しそう」「捨てられた」「カップルになりそう」と細々した恋愛エピソードは頻発するけれど、時代性や暮らしぶり、人としての成長と格闘といった骨太な物語が物足りない、という指摘です。恋愛話は脚本家の好みかもしれませんが、全国に毎日放送される天下の朝ドラですから、もっとダイナミックな展開を見たい、という感想も聞かれます。