「コンパクト五輪」という掛け声のもと、東京五輪の大会の総予算は1兆3500億円、このうち国の負担は1500億円とされている。しかし、国の財政を監視する会計検査院が明らかにした2018年度まで6年間に東京五輪関連に国が支出した総額は、約1兆600億円に上った。金額に大きな乖離が生じているのは、直接の大会経費だけでなく、政府が五輪の基本方針に基づいた五輪関連施策の支出が膨大になっているためだ。かつて東日本大震災の復興予算流用問題をスクープしたジャーナリストの福場ひとみ氏が、なぜ関連施策とその支出が増え続けているのかについて調査した。
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官邸は毎年作成する五輪に関する取組状況報告書で、こうした施策を「東京五輪に関連していろいろやっている」とアピールすることに利用してきた。ところがその結果、「省庁にその自覚はないのに五輪関連予算とみなされてしまった」という特異なケースまで生まれている。
海外からの国賓らを迎える自衛隊員用の特別儀仗服と演奏服を52年ぶりに刷新、7700万円が使われた。
〈陸自によると、デザイン変更は1965年以来。夏服は白地に赤線、冬服は明るい紺に赤線があしらわれている。冬服の上着と夏服の白いズボンを組み合わせて使うことも想定している。デザイナーのコシノジュンコさんが監修し、1着あたり約12万円という〉(2017年3月31日付朝日新聞)
取組状況報告書には、防衛省による「式典等大会運営への協力検討」の中に、儀仗服のことが取り上げられている。
だが防衛省に聞くと、「計画が始まったのは五輪も決まっていない頃ですし、五輪で何か披露するという計画も決まっていません」(陸上幕僚監部広報室)とのこと。五輪関連支出という意識は全くない。「気象情報に係る予測精度の向上及び充実」に409億円が支出された気象庁の企画課もこう言う。
「気象衛星の打ち上げのための予算ですが、五輪予算として要求したものではありません。会計検査院の方が来て『五輪に関連している事業ですよね?』ということで聞き取りに来ましたが、私はありのままをお話ししました」