国内

大学入試「指定校・付属校推薦入試は即刻廃止を」と大前研一氏

大学入試に推薦は不要と憤る

 迷走する文部科学省主導の「大学入試改革」につきあっていては、日本の大学入試制度は混乱するだけで何も得られない。教育の質を高めるには、どのような入試制度が望ましいのか、経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。

 * * *
 現在の大学入試制度で、何よりも許しがたいのは私立大学の「指定校推薦入試」や「付属校推薦入試」だ。これほど入試をおかしくしているものはない。早々と推薦入学が決まった生徒は、たいていその時点から勉強しなくなる。その結果、高校3年間で学んでいるはずの内容を全く理解していないので、大学の理系学部などでは数学の基礎が弱くて授業ができず、補習から始めなければならないという事態になっている。入試改革というなら、推薦入試は即刻廃止すべきだ。

 そもそも日本の大学教育は、高校における文系・理系の選択が早いこともあって、オールラウンドに活躍できる人材が育ちにくい。幅広い教養と論理的思考力を身につけるリベラルアーツ教育も極めて貧弱だ。このため、関心分野が偏ったバランスの悪い人間が出てきてしまう。シンガポールや北欧系の教育システムでは「STEAM(スティーム)」と呼ばれる科学、技術、工学、芸術、数学が21世紀には必須ということで、この5領域を重視する新しい教育体系にシフトしている。

 また、以前から述べているように、日本で人気が急上昇している「国際バカロレア(IB)」では「セオリー・オブ・シンキング(思考の理論)」を最も重視する。これは単に覚えた知識から答えを出すのではなく、自分の頭でゼロから証拠を集めて組み立て、論理的に問題を解決する能力で、「発想学」とも呼ばれている。欧米先進国の学校ではEQ(心の知能指数)を必要とするリーダーシップ教育にも力を注いでいる。かたや日本には、そういう科目が高校までの教育にも大学教育にもほとんど見られない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン