芸能

通説が覆された本能寺の変 『麒麟がくる』はどう描くのか

番組公式ホームページより

「敵は本能寺にあり」──明智光秀が主君・織田信長を討つ際に発したというこの言葉。今年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(1月19日スタート)ではどう描かれるのか。歴史作家の島崎晋氏が「本能寺の変」の謎について解説する。

 * * *
 本能寺の変が起きたのは天正10年6月2日、西暦でいえば1582年6月21日早朝のことだが、この政変を巡る謎は大きく分けて二つある。一つは動機に関するもので、もう一つは明智光秀による単独犯かそれとも共謀者や黒幕がいたのか、という点である。

 動機に関しては大きく分けて怨恨説と野望説、成り行き説の三つがある。通説となっていた怨恨説は江戸時代から続く見方だが、これに初めて正面から異を唱えたのは戦国史研究の大家である高柳光寿で、1958年刊行の『明智光秀』(吉川弘文館)では、光秀が信長から受けたとされる屈辱のすべてが後世のフィクションと論証され、野心家としての光秀像が打ち出された。

 これに対し、同じく戦国史研究で名を知られた桑田忠親は1964年に刊行した『織田信長』(角川新書)のなかで、イエズス会宣教師ルイス・フロイス著の『日本史』の中に、光秀が安土城で信長に足蹴にされたとの記述があることを根拠に野望説を否定し、怨恨説を主張した。

 どちらの説を取るにせよ、歴史愛好家の間では、本能寺の変が光秀の単独犯行で、なおかつたまたま隙が生じたから実行した突発的出来事とする見方が有力だった。それが一変したのは、1992年に作家の桐野作人による『信長謀殺の謎 織田信長謀殺の朝廷疑惑人脈を追う』(ファラオ企画)が刊行されてからだ。本能寺の変には黒幕ないしは共謀者がいて、かなり前から計画されていたとの説が飛び交うようになった。

 黒幕としては朝廷や追放された15代将軍足利義昭、共謀者としては徳川家康や上杉景勝などの名が挙げられている。が、どれも状況証拠しかないため、以前の大河ドラマでは採用されるには至らなかった。

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン