2020年の日本には国論を二分する論争があるが、その一つが女性天皇について「賛成」か「反対」か?──というものだ。本誌・週刊ポストの読者アンケート(※)では【賛成】77.0%、【反対】22.4%だった。ここでは見解の異なる2人の識者の意見を紹介しよう。
●高森明勅氏(神道学者・賛成派)
現在、世論調査の結果を見ると、「女性天皇を認めるべき」という声が8割ほどになっています。皇族に若い男性が悠仁親王殿下しかおられないことも踏まえ、多くの国民が皇室の未来を案じ、そう考えているのだと思います。
こうした調査結果を前に、“女性天皇反対派”は「皇室のことをアンケート調査で決めていいのか」といった批判の声をあげています。
ただしこういう人たちは、上皇陛下のご成婚の時は「ミッチーブームなど軽薄で、皇室に対する敬意が失われる」と怒っていましたし、先の御代替わりに際しても、「譲位を認めれば二重権威が生まれて皇室がおかしくなる」などと反発していました。
そういう“反対派”たちよりも、時代の変化とともにある皇室の姿を自然に支持してきた国民の声の方がよほど正しかったことは、すでに時代が証明しているのではないでしょうか。
また“反対派”は「皇位は男性が継承していくのが基本」などと、しきりと「先例を守れ」と主張します。けれども側室制度が認められていない中で、皇室典範で男性しか天皇になれないと規定されている現状こそが、皇室にとって全く前例のないこと。その中で皇位の安定的な継承のため、柔軟な制度改正を考えることはあっていい。
そして“反対派”の態度として非常に問題なのは、「女性皇族と旧皇族の婚姻を」などと、他人の人生をまるで将棋の駒のごとく扱う発言が多いことです。
それよりも天皇・皇后両陛下のお気持ちをまっすぐ受け継いで育った方が皇位に就かれたほうが、国民の敬意をより集めるのではないでしょうか。