血管の異変は心疾患や脳血管疾患の原因となる。健康寿命を伸ばす最大の対策は自分の血管年齢を知ることだ。その目安となるのが、表の「血管年齢チェックリスト」である。12のチェック項目ごとにリスク度を足していくと、「年相応」「実年齢より10歳以上老化」「実年齢より20歳以上老化」の3パターンを診断できる。
「リスク度の合計値が9以上の方は、一度病院で精密な検査を受けた方が良い」と、チェックシートを作成した池谷敏郎医師(池谷医院院長)は話す。
チェックシートで血管年齢を知り、新年早々、老化の現実にショックを受けた人も多いかもしれない。だが血管年齢は努力次第で若返らせることができる、とする研究がある。
2017年に米ボストン大学が50歳以上の男女3000人を対象に行なった調査によれば、適切な食生活や運動習慣を持つグループは、血管の老化具合が顕著に遅く、健康的な血管年齢を維持していたという。また同研究では、血管年齢を若く保つうえで遺伝的な要因は大きく影響せず、生活習慣次第では70歳でも健康な血管を保つことは十分可能だと指摘している。
血管年齢を若返らせるためにすぐにできることは、食生活の改善だ。まず減塩を心がけるべきだと池谷医師は言う。
「塩分を摂りすぎると血圧が上がるだけでなく、塩そのものが交感神経の緊張を高めて、血管の収縮や動脈硬化を起こします。日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン』では1日6g未満の塩分摂取が理想とされます。
ハムやベーコンなど塩分の高い加工肉を避けて、麺類の汁は残す。醤油の代わりに黒酢やバルサミコ酢、レモン汁を利用するなど、“塩を減らす”ことを意識してほしい」