女王への非礼は最悪の過ちとの厳しい報道も(時事通信フォト)
これまで夫妻の収入は、大きく分けると2か所から得られていた。女王が王室メンバーに分配する王室活動費で、「ソブリングラント」と呼ばれるもの。これが全収入の5%。もう1つが、チャールズ皇太子の持つ「コーンウォール公領」から得られた利益で、これが95%を占めるという。
「経済的な自立」とは、このうちソブリングラントを受け取る権利を返上することで、これまでできなかった「資金調達」つまりビジネスを自分たちで行うとしている。英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんは次のように言う。
「王室における収入すべてを放棄するのかと思いきや、たったの5%だとわかり、国民は拍子抜けしました。コーンウォール公領は、チャールズ皇太子が家族の生計を立てるために所有しているもので、牧場や不動産、レジャーコテージなどからの収益があり、そこからヘンリー王子にも分配されていた。王子としては“父親から息子への資金援助は引き続きほしい”ということなのかもしれないが、王室の特権を保持したまま、金儲けに手を出そうとしている、という印象を国民に抱かせ、反感の声が増えています」
それだけではない。ヘンリー王子は引退後、カナダと英国での“二重生活”を宣言しており、その際にかかる年間1億円近い家族の警備費用は、「税金で賄ってほしい」と要望しているという。
納税者である英国民が納得するはずがない主張だ。そもそもこんな突拍子もないことを、なぜヘンリー王子は宣言したのか。英ロンドン在住のジャーナリスト・木村正人さんはこう指摘する。
「ヘンリー王子は、これまで自分をかわいがってくれたエリザベス女王に、強い感謝の思いを抱いています。そんな王子が、最愛の祖母を裏切るような行為をするでしょうか。王子は妻のメーガン妃によって動かされたというのが、大方の見解です」
今回の引退表明は、エリザベス女王にとって「ナイフで後ろから刺されたようなもの」と地元メディアに報じられるほどの衝撃を与えた。
※女性セブン2020年1月30日号
”王室離脱”を表明したヘンリー王子(写真/時事通信社)