2019年は少子化のスピードが一段と上がり、出生数が90万人を割り込んだが、産む・産まないの選択はあくまでもカップルの判断に委ねられている。問題は避妊の方法だが、男性が避妊具を嫌い避妊薬を飲めと強要してくる場合、これは罪ではないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
女性読者です。悩んでいます。お付き合いを始めて2年目の彼が、避妊薬を飲むように強要するんです。彼は避妊具を付けると満足できないらしく、お前が薬を飲んでくれと。でも、私は避妊薬が体質に合わないようで、体調を崩しがち。それでも飲めと強制してくる彼は何かしらの罰に抵触しないのでしょうか。
【回答】
避妊薬は、医師の処方がないとドラッグストアなどでは買えません。となると、彼はあなたに対し、婦人科を受診してピルを処方してもらえ、と要求しているのですね。
問題は「強制」です。飲まなければ、彼はどうするというのですか? 別れる程度の強要であれば、あなたは交際を諦めるか、避妊薬を服用するか選択できるので、犯罪になることはありません。子供を持ちたくないとの考えのもと、避妊薬を服用することは、少子化の我が国にあっても、違法ではないので、その服用を強く勧められたとしても、民事的にも責任はありません。
もっとも、2人が事実上夫婦同然の内縁関係であったり、婚約している場合、避妊薬を服用しない理由だけで関係解消というのなら、彼の要求は問題です。他の避妊方法がいくらでもあることを考えると、避妊薬で健康被害があることがわかっていながら、要求を承諾しないだけで、一方的に関係を解消するのは不法行為になります。その場合、あなたは精神的苦痛に対する慰謝料請求ができます。