最近、好調のバラエティー番組にはある特徴が見られる。それはスタッフの声が前面に出る番組が多いということ。その効果についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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近年、スタッフの声が聞こえる番組が増えた。過去にも街頭インタビューやアンケートなどの場面にスタッフが出てくる番組は多かったが、最近はスタッフの人柄や感想がより伝わるような番組が目立つのである。
その先鞭をつけたのは、『カミングアウトバラエティ 秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ)だった。全国各地の独自のグルメや風習、県民性などを紹介するこの番組。スタッフは地元の人に「食べたことがなくて」などと声をかけつつ取材。紹介シーンには、「なーにー?」とか「美味しそうとはいえないルックス」とかナレーションが入る。これらは、番組側がぶつける感想・驚き表現なのだが、いつのまにか視聴者もその言葉に共感。そりゃ、確かに「漬物ステーキ」(岐阜飛騨地方)を知らない視聴者は「肉なし?」と思う。その心を番組が巧みに突き、「そうだそうだ」と思わせる。
『マツコの知らない世界』(TBS)は、番組側が用意した感想をマツコが「そうやってあんたたちは」とあっさり否定することで盛り上がるのである。スタッフは、ネタを持ち込むその道の専門家と入念に準備をし、マツコと視聴者をうならせるようなとっておきの逸品をスタジオで披露する。しかし、まんまとそこに乗るマツコじゃない。マツコとスタッフとのやりとりがなかったら、番組はまったく別の味になっていたはずだ。
情報を探すところからスタッフを出しているのが、テレビ東京『YOUは何しに日本へ?』とテレビ朝日『ポツンと一軒家』だ。
『YOU~』は空港の到着ロビーに待機したスタッフが、次々とYOUたちに声をかける。アニメなど日本文化の追っかけ(『探偵!ナイトスクープ』の追っかけもいた)、スポーツや技術の鍛錬、恩人との再会など番組にはさまざまな目的を持って来日したYOUが出てくるが、密着するまでの過程は大変だ。なかなかネタになりそうな人はいないし、密着取材をOKしてくれるとは限らない。