英国のみならず、世界中を驚かせたヘンリー英王子とメーガン妃の高位王族「引退」宣言。メーガン妃をめぐっては、エリザベス女王やキャサリン妃との関係など、さまざまな話題が報じられてきた。さらに英王室の歴史を紐解くと、ヘンリー夫妻以上のお騒がせエピソードが満載である。歴史作家の島崎晋氏が解説する。
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最近の英国は話題に事欠かない。ブレグジット問題が一山越えたかと思えば、今度は王室から騒動が持ち上がった。発火点はチャールズ王太子(*注)の次男ヘンリー王子とメーガン妃である。
【*筆者注:チャールズ王太子/日本では「チャールズ皇太子」と報じられるのがお決まりと化しているが、皇帝の世継ぎではなく国王の世継ぎなのだから、やはり正確を期して、「王太子」とすべきであろう】
そのヘンリー夫妻が、去る1月10日、「高位王族」の役割から退き、経済的な自立に向けた取り組みを始め、今後は一年の半分をカナダで過ごすといったことを意思表明した。女王エリザベス2世やチャールズ王太子の承諾を得ずに発表したために、王室内はもちろん、英国中が大騒ぎとなった。
「高位王族」とは、王位継承順位が上位で、様々な特権を享受しながら義務にも縛られる存在のこと。ヘンリーの王位継承順位はチャールズ王太子、兄のウィリアム王子、ウィリアムの長男ジョージ、同長女シャーロット、同次男ルイに次いで6番目となる。
つまり、ヘンリーに英国の王位が巡ってくる可能性は極めて低い。モチベーションを維持する材料がない現状では、ヘンリー夫妻が思い切った発表に踏み切った気持ちもわからないではない。
もはや、英国王室メンバーの結婚や恋愛にまつわる騒動は英国民の日常と化している。エリザベス2世の代に限っても、妹のマーガレット王女、長男チャールズ、長女アンがそれぞれ話題になった。
だが、歴史をさかのぼれば、英国王室にはその恋愛や結婚が世情を騒がし、国の行く末までを左右した王族がたくさんいる。ここでは代表的な2人を紹介したい。
一人はエリザベス2世の伯父で、二代前の国王であったエドワード8世(1894-1972)である。日本のワイドショーでヘンリー王子夫妻の引退が報じられる際も、「王冠をかけた恋」として何度も登場したので、知っている方も多いだろう。