デビュー21年目で、NHK紅白歌合戦に通算14回目の出演を果たした女性シンガー・ソングライターaiko(44)の、濃密なファンとの交流が目撃された。
紅白歌合戦の半月ほど前の12月14日。場所は、2019年最後のライブが行われたZeep Tokyoだった。凍えるほど寒い中、30代OLのファンはうれしそうに語る。
「aikoさんの魅力は、共感できる歌詞と耳に心地いい柔らかい歌声、いまだに変わらないかわいさ、ファッションセンス……数えたら切りがないんですけど、何と言っても私たちファンにすごい気さくなんです!」
この日の全国ライブハウスツアー『Love Like Rock vol.9』東京公演は、20時半に終演した。すると、ライブ会場裏では、スタッフが手慣れた様子で楽屋出入口を囲うように柵を立て始めた。30~40人ほど入れるスペースが設けられると、ライブを見終えたファンたちが続々と集まってきた。ここまでは、どのアーティストのライブ後にも見られる“出待ちファン”の光景。帰路につくアーティストの姿を少しでも目に焼き付けるためだ。
ところが、aikoはいつまでたっても会場から出てこない。気づけば、時計の針は深夜24時を回り、終電も終わってしまった。それでも約40人のファンは、まだ帰らない。気温2度。24時半、ようやくaikoが出てきた。歓声が起こると、そのまま柵の前で立ち止まり、1人ずつとハイタッチを始めたのである。わずかな時間ではあったが、ファンと言葉を交わしながらプレゼントを受け取ると、送迎車の後部座席からも窓を開け、再びファンに声をかけ、手を振りながら、去っていった。
ベテラン音楽関係者は、aikoの根強い人気について「彼女の恋愛ソングは、切ない歌詞なのにポップな曲調で聴く人に元気を与える。ただ、それだけじゃなくて、ファンとの距離が近いんですよ。ライブのステージからも、観客と会話するようにMCをしますし、何度も通うファンの顔はよく覚えています。ズバリ、親しみやすさです」と解説した。
紅白歌合戦も2014年以降は連続出演が途切れていたが、2018年から2年連続で返り咲いた。歌唱曲は「カブトムシ」「花火」と約20年前のヒット曲だが、「熱狂的なファンを中心とした根強い人気と“国民的親しみやすさ”を、NHKが認めているからこそです」(同・音楽関係者)という。
令和に入っても、体温の伝わるファンサービスが持つ魅力は不変のようだ。