初場所では黒星を重ねると早々に休場した横綱・白鵬。協会や横綱審議委員会を挑発するかのような立ち振る舞いや発言が目立ち、引退後を見据えて内弟子をすでにとって、自分が所属する宮城野部屋内に“白鵬部屋”が実質的に存在する状態で、歪な二重構造から諍いも起きている。そんな白鵬の内弟子のひとりが、幕内最小168cm、99kgの小兵ながら、巨漢力士たちから白星をあげて大人気の炎鵬(前頭5)だ。今場所も花道に登場するだけで大歓声を浴びているが、その先行きも危惧されている。
「いまの幕内力士の多くは、白鵬から張り手やカチ上げなどで痛めつけられてきた。その仕返しとばかりに、内弟子の炎鵬に対戦相手が張り手やカチ上げを繰り出す取組がみられる。相手が手荒な取り口を続ければ、ただでさえケガのリスクが大きい小兵力士だけに、上から押し潰されるなどして故障しないかが心配される。白鵬が健在で睨みをきかせているなら他の力士もそこまで手荒な真似はできないが、今場所のように早々に休場してしまうと、懸念はより大きくなる」(ベテラン記者)
白鵬とその周囲には、様々な問題が生じているが、協会の責任も大きいだろう。好角家として知られる芥川賞作家・高橋三千綱氏はこういう。
「最近になってカチ上げや張り手の問題をいわれるようになったが、昔から白鵬はそういうタイプの力士。元々、日本の相撲や横綱の文化を理解して入門したわけではなく、飯を食べるためにやってきた。日本の相撲というものを師匠や後援者が教え、育てないといけなかった。それができる人が周囲にいなかったということに尽きるでしょう」