警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回はヤクザ業界のファッション事情を、幹部に直撃。
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「LEONファッションですよ」
ヤクザのファッションには流行があるのか?と聞くと、暴力団幹部は開口一番こう答えた。『LEON』といえば“ちょいワルおやじ”というキーワードを世に広めた男性ファッション誌だ。不良っぽくも都会的でセクシーなカッコいい大人のイメージで、イタリア出身のパンツェッタ・ジローラモ氏がイメージキャラクターを務めている。
「ヤクザが好むのを『LEON』が載せるのか、『LEON』に載った物をヤクザが身につけるのか、そこはわかりませんけどね」
『LEON』にとってはあまりありがたくない話だろうが、どうやらヤクザファッションのトレンドは『LEON』の誌面とリンクしているらしい。
また、ちょいワルはちょいワルでも関西と関東では好みが異なるという。
「大阪、名古屋はどちらかというと派手。大阪では少し前まで原色を好み、やたらとブランド物を着ていたけど、コピーも多かった。東京はなるべく目立たないようにが、昔からのヤクザスタイルだ」
関西ならコピー品を手にいれるのはたやすいという。
「生野、鶴橋に行けば何でもある。韓国あたりから入れているんだろう」
自分がコピー品を身につけたとしても、人に譲ることは絶対にしないと幹部は話す。
「どうせあいつからもらった物だ、きっと偽物だと言われれば、自分の価値を下げることになる。30万もするモンクレールのダウンのA級コピー品が3万円だと言われても買わないね。だってさ、コピーよりユニクロのダウンのほうが断然暖かいんだぜ」
普段は渋めのハイブランドを着こなしているその幹部だが、親分の所に行く時は地味な格好をするという。
「親より高い物は着ない。周りにやっかまれるから、おしゃれで派手な格好もしない」
目上と会う時は控えめにというのは、どの業界も変わらないようだ。
山口組では場合によって、制服ならぬ指定のコーディネートがあると話してくれたのは山口組に近い暴力団関係者だ。
「不祝儀など義理の時は、黒いスーツに白いワイシャツ。ワイシャツのボタンは白でなければならず、クラリーノみたいな靴と決められている」
関係者曰く“クラリーノみたいな靴”とは、学生が履くようなシンプルな黒の革靴をイメージしてもらえばいいだろうか。
「このクラリーノがなかなか難儀でね。大勢が集まると、どれも同じだから自分の靴がどこにあるのかわからなくなる。下足番はいるんだが、会合の時は全員中に入ってしまうから、中座する時など靴を探すのに苦労する。名前を書いておく、赤や青の中敷きを入れておくなどそれぞれ工夫するが、オーダーメードで内側の革を黄色や赤にする者もいる」