これまで安泰とされてきた多くの仕事でもAIに取って代わられる時代だと言われている。ものすごいスピードで世の中の仕組みやビジネス環境が変わっていく。そんな中、“有名大学に行けば安心”という考え方は変わりつつある。
そこで、今後必要とされる能力を学べるのはどの学部の、どの学科なのか。もっといえば、どの研究室なのかまでを受験生は見極めている。
そんなシビアな目を持ち始めた受験生に人気を集める学部のキーワードは「データサイエンス」「グローバル」「就職」の3つだという。大学通信の安田賢治さんはこう語る。
「今の受験生の志望する人気学部の第1位は、データサイエンス、次いでランクインするのが国際系です。加えて、しっかりと就職のことも考え、手厚くケアしてくれる学部や学科にも人気が集まっている印象があります」
データサイエンス学部は2017年に滋賀大学が国内で初めて設置。2018年には横浜市立大学、2019年は武蔵野大学でと相次いで新設されている。
リクルートキャリア就職みらい研究所の所長を務める増本全さんも注目株だと声をそろえる。
「今や、国際化で英語が必要なのと同じように、企業など組織の運営にはデータサイエンスの力が必要になっている。日本には担える人材が少ないとされ、学びを求める学生が増えることが予想されます」(増本さん)
実際、滋賀大学は国公立の中でダントツに志願者数を増やしている。滋賀大学データサイエンス学部長の竹村彰通さんが語る。
「データサイエンスとは、消費者の購買データやネットの書き込みなどさまざまなデータを、統計学によって分析する文理融合の分野です。本学ではパソコンすら使えなかった学生でも、3~4年生になると実際に企業で使っているデータを解析できるところまで育てるなど、実践的に学ぶことができます」
この新領域に、学生たちは何を求めて飛び込んだのだろうか。学部4年生の小西秀明さんは、2014年のサッカーW杯がきっかけだったと話す。
「優勝したドイツが、対戦国のデータを専任アナリストが分析していたことを知り、スポーツのデータ解析に興味を持ちました。最近はバスケットボールの試合でボール支配率に着目したデータ解析でコンペにも参加。将来はサッカーのデータ分析にかかわりたいと考えています」
データサイエンスに次いで人気を集める国際系の学部も、卒業後を見据えている。