中国・武漢で発生した新型コロナウイルスは、世界中に感染者が拡がり、警戒が強まっている。このまま2003年のSARSウイルスや、2015年の韓国・MERSウイルスを超えるパンデミック(感染爆発)へと突き進んでしまうのか──日本ではどのような危機が迫っているのか。
◆「スーパー・スプレッダー」の恐怖
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。当初の「感染は限定的」との見方は一転し、中国政府は「人から人へ」の感染を認めた。27日からは中国から海外への団体旅行も禁止した。中国国内の発症者数は2000人を超え、死者は56人に増えている(1月26日時点。以下同)。
感染は中国本土以外にも飛び火し、日本で1人の発症が確認されたほか、タイ、韓国、アメリカ、台湾、香港、マカオでも感染者が出ている。関西福祉大学教授で渡航医学が専門の勝田吉彰氏が指摘する。
「武漢市が公式発表したのは“入院レベル”の患者数で、症状が軽いため感染に気づいていないケースを含みません。
2003年のSARSウイルスの流行では、感染者8000人超、死者774人を出しました。今回の新型でも、感染者がさらに増える可能性は十分あり得る」
懸念されるのは、1月24~30日の「春節(旧正月)」にともない、多数の観光客が中国の国内外に移動することだ。