偏差値や大学の“ブランド”が受験校選択の判断基準だった時代はすでに過去のものとなり、大学入試をとりまく状況は今、大きく変わろうとしている。
受験生に人気を集める大学・学部のキーワードは「データサイエンス」「グローバル」「就職」の3つだという。
その中で、就職を視野にいれた大学・学部選びが中心となるなか、驚異の就職率を誇る大学がある。「大学通信」が調査した実態に近い就職率である「実就職率」(卒業者数1000人以上)で、3年連続のトップを独走するのは金沢工業大学だ。2018年の実就職率はなんと98.1%だった。
同大学は、その理由をこう分析する。
「大きな理由は1995年度から実施してきた『問題発見・解決型教育』が功を奏したからだと考えています。1年次から学生同士でチームを組み、社会的価値のある研究課題を発見し、解決策を提案する。あるチームは山間部に薬を運ぶための垂直離着陸機を実際に製作、2019年末にはテストフライトを成功させました。現場で機体トラブルがあった際も、学生たちが議論しながらその場で修理し、無事飛びました」(広報課)
「NHK学生ロボコン」に出場した同大学のチームは東大に勝利したこともあるなど、華々しい結果を残している。
「就職においても大学の進路開発センターが学生の進路を100%把握、内定が決まるまで徹底的にサポートします」(広報課)
ほかにも、就職をきめ細かく指導する大学はある。大学受験をはじめとする教育問題に詳しい「大学通信」常務取締役の安田賢治さんはこう言う。
「社会人女性にキャリアプランを相談できる『社会人メンター制度』などの手厚い制度がある昭和女子大学や、毎日のように企業説明会を開き、しかも就職後の離職率も低い福井大学なども“本当に就職に強い大学”として注目です」(安田さん)
一定の業種に特化した強い大学や学部も増えている。