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1人だけの出版社創業者が「何のために働くのか」と綴る1冊

島田潤一郎さんが『古くて新しい仕事』について語った(撮影/浅野剛)

【著者に訊け】島田潤一郎さん/『古くて新しい仕事』/新潮社/1800円

【本の内容】
 10万人の読者より、具体的な1人に向けて本を作りたいという島田潤一郎さんが、ひとり出版社「夏葉社」を立ち上げるまでのこと、丁寧な本作り、敬愛するイラストレーターの和田誠さんとの仕事、本の未来などについて書き下ろした。「この本にすべて書いたので、書き足りないことは何一つないです」。装丁は和田誠さんと生前親交の深かった南伸坊さん。

 吉祥寺(東京)にある「夏葉社」の扉をあけると、目の前に発送を待つ本の山が現れた。芳ばしい紙の香り。その山の向こうで島田さんが控えめな笑顔を浮かべていた。

 本が大好きだった島田さんは、33歳の時に一人でこの出版社を立ち上げた。年間3冊の文芸書を作って10年。今までの歩みや仕事への思いをつづったのが『古くてあたらしい仕事』だ。

「ぼくは自分の仕事を見つけるまでに苦労したんです。それまではずっと生きづらいな、世の中どうなってるんだ、と思っていました」

 27歳まではアルバイトをしながら小説家を目指していた。会社員も経験したが長く続かず、転職活動では50社連続で不採用に。そんな時に従兄が亡くなり、そこから本を作る仕事に導かれていく。自身の物語がまるで小説のようだ。

「僕の5歳の息子はあまり器用ではないので、子育てをしていると挫折みたいなものを味わうんです。でも、社会には彼が必要とされる場所が必ずある。そう思って息子のために、強い者より弱い人に、生きにくさを感じている人たちのために書こうと思いました」

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