近代日本が初めて経験した大都市直下の大地震、阪神・淡路大震災(1995年)。死者6434人、負傷者4万3792人と、世界でも例を見ない未曽有の都市型災害となった。日本人が“地震の巣”の上に暮らしていることを、改めて強烈に意識させられたあの日から丸25年…。
1月24日、政府の地震調査研究推進本部が「活断層地震」の発生確率値の最新版を発表した。全国に約2000あるという活断層のうち、地震で社会的に大きな影響が出る114の活断層を重点的に調査し、リスク評価を行った。
日本で起きる地震には大きく分けて「海溝型地震」と「活断層地震」の2種類がある。海溝型地震は東日本大震災(2011年)が一例で、プレート(地球の表面を覆う板状の岩盤)とプレートの境目で起きる地震。一方、プレート内部にある断層の活動で発生するのが活断層地震で、「直下型地震」とも呼ばれる。
武蔵野大学特任教授で地球物理学者の島村英紀さんは、活断層地震の危険性をこう指摘する。
「直下型地震は海溝型地震に比べて規模は小さいが、震源が浅いため、都市部の直下で起きれば甚大な被害をもたらす可能性があります」
政府の発表によると、最も危険度が高い「Sランク(30年以内の発生確率が3%以上)」の活断層が、全国に31か所あるという。
「3%」と聞くと低い確率のようだが、阪神・淡路大震災の発生確率が当時「0.02~8%」、熊本地震(2016年)は「ほぼ0~0.9%」だったことを考えると、3%は「いつ起きても不思議ではない数値」といえる。しかも31か所のうち、8か所の活断層では発生確率が「8%」を超えた。阪神・淡路大震災の発生前より、切迫度が高まっているのだ。
◆構造線断層帯では連鎖的に発生も
そのなかでも、島村さんが特に注目するのは2つの「構造線断層帯」だ。日本列島には、近畿から四国北部を通って九州北部まで延びる「中央構造線断層帯」と、列島中央部を縦に貫く「糸魚川―静岡構造線断層帯」の2本が走っている。
「構造線断層帯とは断層が長く連なったもので、長ければ長いほど、そのどこかで地震が発生する危険性は高い。しかも一度地震が起きれば、同じ構造線断層帯内の離れた場所でも連鎖的に地震が起こりやすくなります。熊本地震は、中央構造線断層帯の西の端に連なる活断層帯で発生しました。これにより、中央構造線断層帯が活発化することも充分に考えられます」(島村さん)