日本列島は地震の巣。日本人は太古の昔から、しばしば襲ってくる烈震に悩まされ、その都度、それを教訓として「次の地震への備え」を創意工夫してきた。ただ、時代によって、その備えはガラリと変わる。
たとえば、平安時代ならば大型化する建物の倒壊対策が焦点だった。江戸時代なら、人口密集地の木造家屋が延焼しないように、とにかく「火消し」を充実させた。
それでは、2020年の東京を直下地震が襲ったら──。
高度に情報化された現代社会では、地震対策でも「情報格差」が生まれる。家族が無事なのか、どこにいるのか、どの避難所は安全なのか、食料はどこにあるのか、水はあるのか、稼働している病院は──。
防災アドバイザーの岡部梨恵子さんが話す。
「スマホを使いこなせるかどうかが命を分けるといっても過言ではありません。まずは、LINEやカカオトークなど、相手がメッセージを読めば『既読』がつくSNSは、安否確認に必須です。ステータスメッセージ(自分の名前欄の下部に表示される小さなメッセージ)に『無事です』とか『〇〇避難所にいます』などと書いておけば、直接連絡が取れなくても伝わります。
ぜひ知っておいてほしいのが『三角連絡法』です。被災地同士はつながりにくいので、被災地から離れたところにいる知人を介して三角形で連絡を取り合う方法です。たとえば東京で被災したら、まず地方の親戚に連絡を取ってみる。遠方だとつながる場合があるのでトライしてください」
災害時に電話番号「171」にかけて安否情報を伝えられるNTTの「災害用伝言ダイヤル」も有効だ。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんが言う。
「音声案内なので子供でも高齢者でも伝言を録音して聞くことができます。伝言あたり30秒以内なので、現在地やけがの状態、次に連絡する時間など最低限必要な内容は、事前に考えておいてください。毎月1日と15日は試用可能なので、日頃から使えるように練習しておきましょう」
◆スマホの充電切れは絶対避けたい
被害の状況も気になるところだ。
「『Yahoo!防災速報』が無料アプリの中で最も充実しています。情報を知りたい市区町村を最大3つ選択可能で、全国共通の災害情報、自治体からの緊急情報などを通知できます。『NHKニュース・防災』アプリや、防災情報に強い地域FMも聴けるアプリ『radiko』、ツイッターの自治体アカウントなども最新情報が取りやすい」(和田さん)