「働き方改革」を進めているとはいえ、まだまだ日本人の労働時間は長く、健康を害する要因と指摘されている。会社側が抜本的な対策を講じてくれればいいが、個人の裁量に任される場合はなかなか解消できそうもない。これに対し、自律神経の名医として知られる順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、最新刊『不摂生でも病気にならない人の習慣』の中で、肉体も精神も休まり、労働パフォーマンスも向上する効果的な休息術を紹介している。
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普通、休息と聞くと、「働き終えた後にとるもの」と思っている人が多いようですが、実はそれをやっていては、いつまで経っても十分な休息をとれた気になりません。
例えば、残業して夜9時まで働いていたとしましょう。疲労困憊です。家に着くなり、カバンを放り投げ、ソファーにドカッと座り込み、テレビのスイッチを入れる。「ああ疲れた」とため息をついてダラダラ過ごしていれば、もう11時近くになっているはずです。明日のことを考えれば、入浴を済ませ、もう寝なければいけません。
この日常で効果的な休息をとれていると思いますか? 「ああ、もうこんな時間だ。明日も仕事だから寝ないと……」 と焦るのがオチで、明日のことを考えたら、気が重くなるかもしれません。家に帰ってからの2時間、あなたは無為に過ごしてしまったのです。
ではどうしたら、上手に休息をとることができるのでしょうか。それは「こまめにとる」のが労働効率を上げるためにもベターな方策です。具体的に私は1時間を「45分間の集中+15分間の休憩」というワンセットで働くことをお勧めしています。
医学的にも、生理学的にも、人間の集中力の持続時間は90分間が限界だと言われています。大学の講義が90分間で区切られているのは、そうした合理的な理由からです。にもかかわらず、休憩もとらずに仕事を続けていれば、当然、時間の経過とともにパフォーマンスはダダ下がりです。