昨年末から日本各地で大きな地震が相次いでいる。12月19日に青森県で震度5弱、年が明けてからも千葉県、茨城県、沖縄県、北海道で震度4の地震が発生した。そんななか、政府が想定死者数約23万人と試算し、専門家が警鐘を鳴らし続ける「南海トラフ地震」発生の兆候が見られるという。
地震学者で元国立極地研究所所長、武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が指摘するのは、サクラエビの歴史的不漁だ。
国内で静岡・駿河湾でのみ水揚げされるサクラエビに異変が起きたのは2018年の春漁でのこと。水揚げ量が例年の半分にも満たなかった。静岡県の桜えび漁業組合は同年の秋漁を自粛したが、その効果は見られず、2019年の春漁・秋漁を合わせた年間水揚げ量は174.9トンで、戦後最低を記録した。
「不漁の原因の1つとして考えられるのは、湾の中の『駿河トラフ』で発生している『異常』をサクラエビが感知しているのではないかということです。
南海トラフ地震は、駿河トラフから南西に続く一連の海溝からフィリピン海プレートが西日本の下に潜り込むことで発生します。駿河トラフで異常が起きつつあり、深海(水深200~350メートル)で生息するサクラエビに何らかの影響を及ぼしている可能性があります」(島村氏)