中国・武漢発の新型肺炎の脅威を最も身近に感じたのは、感染者と接触する可能性が高い「ツアーバス運転手」だろう。1月28日に確認された国内6例目の感染者は、奈良県在住のバス会社勤務の60代男性だった。
男性が運転手を務めたバスには、武漢市からの観光客が乗っていた。中国への渡航歴がない日本人の感染は国内で初めてで、同じバスに同乗した大阪市在住のツアーガイドの女性にも感染が確認された。
国内4例目の感染者は武漢市から来日し、ツアーバスで愛知県を観光中だった40代の中国人男性だった。厚生労働省健康局結核感染症課の担当者は、そのバス運転手への健康調査も行なったと説明する。
「感染した中国人男性はツアーの間ずっとマスクをしていたそうですが、一定期間近くにいた人たちには飛沫感染の可能性があるため、ツアーバスに同乗した乗客・乗務員にも健康調査を実施しました。結果は全員、陰性でした」
バスという狭い密室で、運転手・添乗員は何時間も一緒にいることになる。感染が確認されたバス会社以外にも動揺は広がっているようだ。
中国からのインバウンド客を乗せる機会が多いという観光バスの男性運転手が語る。