2月2日午後1時半ごろ、三重県桑名市の住宅街で銃声が鳴った。回転式拳銃の銃弾が複数発撃ち込まれたのは、六代目山口組・高山清司若頭の自宅だった。1500坪以上の広大な土地に建つ日本家屋はまるで城壁のような白く長い塀に囲まれ、至るところに監視カメラが設置されている。明らかに普通ではない佇まいの豪邸だが、事件発生当時は無人だったという。
桑名市は今年1月、六代目山口組と神戸山口組が暴対法による特定抗争指定を受けたことで「警戒区域」とされた。組事務所には立ち入れないが、自宅はその適用を受けない。昨年10月の出所後、抗争が激化するなど山口組の司令塔ともいうべき重要人物の自宅だったため、周囲では警察官が張り付き警戒をしており、犯人はその場で取り押さえられ現行犯逮捕された。
逮捕されたのは元暴力団員の谷口勇二容疑者(76)。1997年、五代目山口組の宅見勝若頭射殺事件で独立した中野会の傘下組織で、相談役をしていた経歴があった。だが、中野会は2005年8月に解散し、消滅。谷口容疑者も同時期に辞めたようで、以降、組織に所属した痕跡はない。
犯行自体はただいたずらに警察と世論を刺激するばかりで、ほとんど実効性はない。むしろ、暴力団社会ではマイナス評価されると考えていい。
「これだけ立派な自宅に撃ち込んだところで、門に穴が開く程度なのに、チャカでカチコミをすれば建造物損壊、銃刀法の所持、発射罪などで10年は懲役を喰らう。まったく意味がないどころか、ヤクザとして恥ずかしい。問題はどこの“紐付き”かということだが、まだそれが分からない」(広域団体幹部)