白衣姿で診察室の机に向かう背筋は伸び、快活な笑顔で患者に聴診器を当てる──101歳にして台湾で現役医師を続けている田中旨夫氏の日常だ。戦前に台湾で生まれた田中氏は、戦後沖縄で内科医として勤めた後、2年前に生まれ故郷の台湾に戻った。現在も流暢な台湾語で患者と向き合う。
『101歳現役医師の死なない生活』を上梓した田中氏の話を聞くべく台湾に飛ぶと、数々の「長寿の秘訣」が見えてきた。
月~金曜日の午前中は台北市内の産婦人科医院「正生婦幼聯合診所」に勤務している田中氏。アンチエイジングに特化した科で、ホルモン注射など健康寿命を延ばす医療を担っている。記者が病院を訪れた日も、診察室でパソコンに向かいカルテを見ていた。
「働く場所、通う場所があると身体にスイッチが入るんですよ」(田中氏、以下同)
治療効果を自ら証明し続ける田中氏の、健康長寿の秘訣は何なのか。
「ホルモン注射の効果もありますが、何より、『日々の生活』ですよ」
田中氏の日常に“死なない習慣”のヒントがあるという。
◆「悠々自適じゃ物足りない」